ベイブレード大会の勝ち方:最後の公式ベイブレードバースト大会を制した“師匠”が明かす、優勝までの14年の道のり

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ベイブレードのプレイヤーならば、誰だって勝ちを目指してプレイする。けれども、その頂点を極められる者はほんの一握りだ。近道などはない。ベイブレードへの献身と不屈の精神、経験と知識、技術と運、そして負けの痛みー頂点を極めるにはこれらが必要となる。

かつて、2012年ベイブレード世界王者のRyoはこういった。

ベイブレードを始めてまもない頃は、大会に出場しても1回戦で負けた。そうした経験があったからこそ、優勝するためには負けを経験する必要があるのだと考えるようになった

ブレーダーKei×Ryo、2012年ベイブレード世界大会

今回のインタビューは、ベイブレードをハイレベルな舞台でプレイし勝つということがどんなことであるかについての、まさに”マスター”クラスとなっている。タカラトミーによって開催された最後のベイブレードバースト大会、その優勝者が、ベイブレードと歩んだ14年の道のりについて明かしてくれた。インタビューを読めば、彼の経験が、先に紹介したRyoの言葉と、多くの点で共通していることがわかるはずだ。

彼には、大会の様子や大会への準備の方法、バトルについての考え方、ベイブレードバーストに対する思いやベイブレードXへの印象など、様々なことについて話をお聞きした。

勝利への近道などない、というのは、自身の経験から導き出した筆者の考えである。筆者のベイブレーダーとしての活躍は、ほとんどが北アメリカ圏内を中心としたものであるが、日本のベイブレードコミュニティーにも、直近の2020年を含めたびたび参加している。そして現在、筆者は日本に1年間の予定で滞在中である。

当時、日本でのそれらの経験から、多くのことを学んだ。東京のベイブレードコミュニティにおける、ベイブレード史上名だたるキープレーヤーたちと出会い、多くのイベントに参加した。しかしながら、頂点に立つプレーヤーと深い対話をし、彼らに対する自分の印象について理解を深めるような機会は、長らく持てないままでいた。

そしてついに、今回そうしたインタビューを実現することができた。インタビューしたプレイヤーは先述のG1大会の優勝者、その名も”師匠”と呼ばれるプレーヤーだ。

マスターブレーダー堀川から「ベイブレードバースト大感謝祭G1」のトロフィーを受け取る師匠

日本ではベイブレードバーストがその幕を下ろし、新たな世代となるベイブレードXがまさに始まろうとしている。だからこそ、日本におけるこの最後の公式ベイブレードバースト大会を記念し、このような師匠レベルのトッププレーヤーからその極意を学ぶのに、今こそがベストタイミングなのではないだろうかと考え、このインタビューを企画した。

筆者が彼とお会いしたのは、2016年の来日以来、数年ぶりのことであった。その当時でさえ、彼の技術は異彩を放っていた。関東地方でのローカルG4イベントでよく彼を見かけたり、対戦することもあった。メタルファイトベイブレードからベイブレードバースト世代の完結までの彼のベイブレーダーとしての道のりは、先日開催された最後の公式ベイブレードバースト大感謝祭G1大会での優勝をもって、最高潮に達している。

筆者もこの大会に参加したかったのだが、参加者は288名という制限があった。参加者選抜のため行われた抽選は、日本国内居住者を対象としており、幸運にもこの条件は満たしていたのだが、結局抽選に外れ出場はできなかった。

筆者は人生における多くの時間を、大好きな日本について知るため、そしてベイブレードのために注いできた。そしてこうして、実際に日本で多くの時間を過ごす機会にも恵まれている。こうした経験から、筆者としては、日本のベイブレードファンと日本国外のベイブレードファンをつなぐための力になりたいと考えている。

このインタビューがその一助となれば幸いだ。そしてこれが世界中のプレイヤーを鼓舞し、彼らが高みを目指す動力となり、プレーヤー同士がベイブレードを楽しむ手助けとなれば嬉しい。

下記のインタビューをお読みいただくとともに、あわせてまとめの筆者解説もご確認いただきたい。それではお楽しみください!

2017年東京でのベイブレードバースト大会での師匠対1234beyblade

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「師匠」とは?

2023年5月に開催されたベイブレードバースト大会に参加した師匠

ブレーダー Kei: 自己紹介をお願いします。出身はどこですか?

師匠: プレイヤーネームは「師匠」です。

2009年からベイブレードを始めて、今年でプレイを始めてから14年目になります。

私は2018年から東京で「梨本46非公式大会」を開催しています。そのため、私のことを「梨本」と呼ぶプレイヤーもいますが、一般的には「師匠」と呼ばれることの方が多いです。私の呼び方は人それぞれです。

出身地は東京です。私の住んでいる地域では、オープンクラスのG4大会が多いため、毎週のように大会に出場しています。

今回は私にインタビューをしてくれてありがとうございます。世界中のプレイヤーに、日本のプレイヤーや大会について知ってもらえたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

Kei: どのようにしてベイブレードを知りましたか?いつからプレイし始めましたか?

ベイブレードとの出会いは小学生時代

師匠: 小学生の頃に友達と公園で遊んでいたときに知りました。私が友達と遊んでいたとき、上級生たちがベイブレードで遊んでいました。そのときに遊ばせてもらってベイブレードが好きになりました。

私がベイブレードをプレイし始めたのは2009年のことです。ちょうど、メタルファイトベイブレードが小学生の間でブームになっている時期でした。

初出場したトーナメント

初めてトーナメントに出場したのもこの年でした。初めての大会で、私は一回戦で敗退しました。大会では負けてしまいましたが、大会で色んなプレイヤーと対戦できることが楽しくて、それから大会に積極的に出場するようになりました。始めの二年間は全く勝つことができませんでした。一回か二回か勝つことは出来ましたが、ベスト4に入ることは一度もありませんでした。

勝ち方の習得

私の家の近くには、頻繁に大会に出場している友達がいました。彼は町の中でもかなり強いプレイヤーでした。私は彼や彼の父親にどうしたら大会で勝つことができるのか教わりました。彼の父親は、私にベイブレードの調整方法やパーツの厳選方法などを、分かりやすく教えてくれました。

そのアドバイスを元に準備を行ったところ初めて大会で準優勝を獲得することができました。そこから私の成長は早くなりました。

頻繁にG4で勝ち残ることができるようになりました。私の実力が町で通用するようになってきて、ベイブレードが今まで以上に面白く感じたのを覚えています。私の両親は、ベイブレードにあまり協力的ではありませんでしたが、それでも町の強いプレイヤーたちと互角に渡り合えるようになりました。

メタルファイトベイブレードが終了して3年経ったとき、私はベイブレードバーストシリーズが始まることを聞かされました。最初、私はベイブレードバーストは力を入れるつもりがありませんでしたが、久しぶりに大会に参加したことで再びやる気になり、ベイブレードバーストも本格的にスタートしました。

Kei: 日本のベイブレードチーム「WARI-BEY」のメンバーですね。加入した経緯を教えてください。あなたにとってWARI-BEYとは何ですか?

師匠: 実は私がWARI-BEYに加入したのはつい最近の話です。元々、私はYABEYというチームに在籍していましたが、この春にWARI-BEYに加入することが決まりました。

G1に参加したときは、私はまだYABEYのメンバーでした。

師匠とYABEYのチームメイト

1. 加入した経緯

元々WARI-BEYはレギュラークラスの大会に参加する小学生の子供たちをサポートするためのチームです。ですので、それまでは大人のメンバーは募集していませんでした。

しかし、夏から始まる新シリーズ(BEYBLADE X)に向けて、大人のメンバーが募られました。BEYBLADE Xでは小学生のみが参加できるレギュラークラスの他に、中学生以上のプレイヤーが参加できるシニアクラスと、全年齢対象のマスターズクラスが開催することが決まっています。

私はWARI-BEYのJumboに掛け合い、チームに加入したい旨を伝えました。そして、G1大会の日に、私はJumboに「今日の大会で優勝してWARI-BEYに加入します」と宣言して優勝しました。Jumboは私がWARI-BEYに加わることを承諾してくれました。これは私がWARI-BEYに加入した経緯です。

2. WARI-BEYとの出会い

私とWARI-BEYメンバーが初めて対戦したのはおよそ10年前のことです。当時私はどのチームにも加入せずに活動していました。

ある日の「おもちゃのぶんぶく」のG4大会で、私は2012年にカナダで開催されたメタルファイトベイブレードのWorld Championshipの優勝者であるWARI-BEYメンバーのRyoと決勝戦で対戦しました。そのバトルで私はRyoから1つもポイントを奪うことが出来ずに敗退しました。私は彼の強さを実感すると共に、彼の勝利を目指す闘争心に衝撃を受けました。

それから2年が経ち、ベイブレードバーストシリーズが始まったので、私は再び「おもちゃのぶんぶく」のG4大会に参加しました。そのときに対戦したのが、同じくWARI-BEYメンバーのハヤテです。

ハヤテの存在は、他の大会で何度か見かけたことがあったので知っていました。私はハヤテに勝利することで、自分が強いプレイヤーであるということを証明したかったのですが、結果的に私はハヤテにあと一歩のところで敗北しました。とても悔しかったことを今でも覚えています。おそらくハヤテは覚えていないと思いますが。

その姿を見ていたJumboが、後日私にとあるイベントに参加しないかとメッセージを送ってきました。それがWBO×WARI-BEYのトーナメントでした。私は自分がこのイベントに誘われると思っていなかったので驚きました。私はJumboに「是非参加させてほしい」と伝えて、トーナメントに参加しました。後から聞いた話ですが、Jumboは私がハヤテと対戦する前から、私のことを知っていたようです。2013年に開催されたG2イベントで、私が決勝のトーナメントに進出していたことをJumboは忘れていませんでした。私がトーナメントに参加している様子はWBOのYouTubeで見ることができます。(下記動画0:39参照)

私は、勝ち上がるために多くの時間を費やして準備をして参加しましたが、一日を通して全く勝利することができませんでした。トータルで勝利できたのは僅か数回だったと記憶しています。私は今までよりも強くならなければいけないということが、このイベントで分かったからです。この連敗の経験がなければ、今の私はいなかったと思います。

3. 私にとってのWARI-BEY

WARI-BEYは20年近く活動している日本を代表するベイブレードチームです。WARI-BEYが結成されたとき、私はまだ幼い子供だったため、彼らの長い歴史について詳細に知りません。しかし、彼らがこの20年近くの間で数々の記録を残したことは知っています。

バーストシリーズでは、彼らが活躍しているシーンを間近で見ることができました。彼らの勝利を目指す熱意や戦いは私に多くの刺激を与えました。

私にとってWARI-BEYは世界で最も強いベイブレードチームです。BEYBLADE Xでは、私もWARI-BEYの一員として、大勢にインスピレーションを与えられるプレイヤーになりたいです。それが達成できたとき、私の「師匠」というニックネームが本物になります。G1で優勝したことを励みに、BEYBLADE Xではより高い記録を獲得できるために全力を尽くします。

Kei: 尊敬する選手やロールモデルとしている選手はいますか?また、なぜその選手を尊敬していますか?

師匠: WARI-BEYメンバーのハヤテです。彼は、私がバーストシリーズを始めて一番最初に私に大きなインスピレーションを与えたプレイヤーです。そして、私自身一番最初に当たった壁です。彼は私にとっての先生のような存在です。

ハヤテは元々メタルファイトベイブレードで最前線で戦っていたプレイヤーです。彼はシリーズの最初から最後までトッププレイヤーとして駆け抜けていました。メタルファイトシリーズのG4トーナメントでは年間50回以上優勝している凄腕の持ち主です。大型トーナメントでも彼は10回以上の入賞をしています。

その圧倒的な強さから、当時彼のことを恐れていたプレイヤーがとても多かったことを聞き、衝撃を受けました。

私は彼のような、他のプレイヤーよりも凄いオーラを持つプレイヤーを目指しています。

Kei: 好きなベイブレードの世代はありますか?理由とあわせて教えてください。

師匠: やはり、メタルファイトベイブレードです。私が初めてベイブレードで遊んだのがメタルファイトシリーズなので、思い出深いことも理由の一つですが、振り返るとメタルファイトベイブレードは、努力をすればするほど成長できるシリーズだったように感じます。ベイブレードバーストシリーズでは、初心者でも勝ちやすいシリーズですが、メタルファイトシリーズのでは、長いこと一部の強いプレイヤーによって上位が寡占されていました。

初心者の多くは、このような状況を嫌っていましたが、私は力を注げば注ぐほど、成果が目に見えるメタルファイトシリーズが好きでした。

メタルファイトシリーズで活躍してきたプレイヤーの多くは、独特のオーラがありました。彼らは、同じ小学生とは思えないくらいのオーラを持っていました。私は彼らの持つオーラに刺激を受けて、高みを目指すようになったので、そのようなきっかけを与えてくれたメタルファイトシリーズが私の中で最も印象に残っています。


チャンピオンから見たベイブレードバーストG1リポート

Kei: 最近、タカラトミー主催の「ベイブレードバースト大感謝祭」のG1大会で優勝しましたよね。おめでとうございます!次に、その時の体験談をお聞きしたいと思います。

イベントはどうでしたか?優勝したこと以外で、何か特別な印象や瞬間として心に残っていることはありますか?

1. シリーズラストのビッグイベントに参加したプレイヤーたち

師匠: 今回のG1大会はベイブレードバースト最後のビッグイベントでした。2020年の1月を最後に、COVID-19の影響でこのようなビッグイベントは開催されてきませんでした。

今回も、大会には事前にエントリーした288人のプレイヤーのみが参加できました。これは通常のG1大会のおよそ半分の人数です。

開催地は東京でしたが、ラストのビッグイベントに参加するために全国からプレイヤーが参加しました。現役のプレイヤーも大勢集まりましたが、普段会うことのできない遠方の知り合いや、久々に会うプレイヤーもたくさんいました。まるで同窓会のようで懐かしい気持ちになりました。大会に日常的に参加することで、このような人間関係が築かれていくこともベイブレードの面白さの一つです。

2. 仲間たちの応援

私が予選で勝利する度に、私の仲間たちは私にエールを送ってくれました。それは私にとってとても励みになりました。私がバトルに勝利すると、出口で仲間たちが待ってくれていて、私にfist bumpをしてくれました。このような仲間たちの存在は、私の力になりました。ベイブレードで出会った仲間たちは私にとっての宝物です。

3. トロフィーが授与されることを知ったとき

予選のバトルに勝利して、決勝トーナメントの準備をしているときのことです。私は決勝戦で使用するベイを提出するために楽屋に入室したとき、この大会の入賞者にトロフィーが授与されることを知りました。

これは公式のホームページには記載されていなかったため、私は驚きました。入賞者に贈られるトロフィーは、ベイブレードバースト最初のG1大会の入賞者に贈られたものと同じでした。トロフィーの頂上にはメタリックのヴァルキリーウイングアクセルが輝いています。このトロフィーはかつて、WARI-BEYメンバーのリクとミユも獲得しています

私は絶対に金色のヴァルキリーが設置されたトロフィーが欲しいと思いました。優勝トロフィーは一番背が高く立派に見えました。もし、トロフィーが贈呈されなければ私は優勝できなかったかもしれません。そのように感じるほどに、トロフィーの存在は大きいものでした。

Kei: 最も難しかった試合は何でしたか?詳細と理由を教えてください。

師匠: 最終予選です。予選最後の試合なのでそれまでとは緊張感が違いました。勝つことができれば決勝トーナメントに進むことができますが、負けたらバトルは終了です。

今回の大会はできる限りの準備をしていましたが、3次予選からのDBスタンダードスタジアムで行われる2人対戦は自信がありませんでした。大会までに自分が100%納得できるベイが用意できなかったからです。

それでも、3回戦と4回戦はモードチェンジの心理戦を制し勝つことができました。私が使ったベイはワールドディアボロスでしたが、それまでは相手のベイと逆の回転方向にすることで勝利していました。しかし最終予選で初めてモードチェンジで誤った選択をしました。相手と同じ回転方向になってしまったのです。それを知った瞬間、私は負けてしまうと思いました。相手のベイの方がスタミナがあると想像していたからです。

最終予選のエリアに行く前、私は多くの友人からエールを貰いました。その期待を裏切るのではないかと、バトルが始まるまでずっと心配していたことを今でも覚えています。

打ち出しはできる限り正確におこないましたが、思っていた軌道から外れてしまい、私のベイは暴走しようとしました。しかし暴走する先に相手のベイが回っていました。運が良いことに近くにオーバーポケットがあったので、私のベイが相手のベイを弾き出すことに成功しました。私はこのバトルに勝つのが厳しいことを知っていたので、勝利した瞬間にその日一番の大声でガッツポーズしました。そしたら、近くで見ていた大勢のオーディエンスが一斉に私に拍手をして勝利をお祝いしてくれました。それには思わず私もビックリしました。間違いなく、その日一番盛り上がった瞬間でした。

Kei: G1の決勝戦の試合内容について、詳細を教えてください。

ベイブレードバースト大感謝祭G1決勝トーナメント表

師匠: 私が予選を突破して、決勝トーナメントへの進出が決定したところからお話しします。

決勝戦に向けた準備とベイチェック

決勝トーナメントは舞台上で5Gバトルが行われました。予選を抜けた4人のプレイヤーは、BLADER KENから説明を受け、5Gデッキを用意するためにいくつかの時間を貰いました。それはおよそ15分ほどだったと記憶しています。その短い時間でプレイヤーたちはデッキを用意するだけでなく、決勝トーナメントでバトルするための身支度をすべて整えなければいけません。

用意ができたプレイヤーは、デッキを提出するためバックステージへ向かいます。一度エリアに入室すると、決勝トーナメントがすべて終了するまで抜け出すことはできません。

決勝トーナメントでは、それまでよりも入念に使用するベイブレードのチェックがされます。チェックには30分以上の時間を掛けておこなわれました。私と準決勝でバトルする予定だったプレイヤーは残念ながら、レギュレーション違反が発覚したため、失格処分になってしまいました。そのため私は準決勝は不戦勝になり、準決勝で勝ち上がってきたプレイヤーといきなり決勝戦でバトルすることが決定しました。これが今回の大会での一番のハプニングでした。

決勝戦の相手は10年来の知人 

決勝戦の相手は私の知人「ブレーダー マサキ」でした。彼は私と同じく、東京都八王子市の「みなもとや」のG4大会に参加し続けていた仲間です。10年以上みなもとやで戦ってきた仲間と、最後のG1大会の決勝戦で戦えることができてとても嬉しかったのを覚えています。

通常、このような大きな規模の大会の決勝トーナメントは張り詰めた空気になりがちですが、私たちはそのようなことはありませんでした。いつものような楽しい雰囲気でバトルすることができました。ベイブレードにおいて、バトルを楽しむことは大切です。優勝を目指すことはもちろんですが、G1大会でしか味わうことのできない雰囲気を満喫することも忘れてはいけません。

各バトルの詳細

決勝戦はすべてが相手と逆の回転方向の持久勝負になりました。バトルの映像はYouTubeで見ることができます。カスタマイズの詳細は後程説明します。

1st Battle (1-0)
  • 師匠: バニッシュバハムート.Nx.BDr-6 (1st gear)
  • Masaki: ウインドペルセウス.S´.Zn-4

まず最初に私が僅差で1ポイントを得ました。どちらが勝ってもおかしくない勝負でした。5Gバトルでは、最初にポイントを得られることは大きいことです。

2nd Battle (1-1)
  • 師匠: ダイナマイトケルベウス.Ov.MBD-4 (1st gear)
  • Masaki: ワールドディアボロス.Il.MDr 1S

続くセカンドバトルでは私はポイントを失います。しかし、ワールドディアボロスにポイントを奪われることは想定内でした。幸い私は1stバトルで1P得ていたことで、差は大きく開くことはありません。

3rd Battle (2-1)
  • 師匠: ワールドディアボロス.Il.MDr 1S
  • Masaki: バーストロンギヌス.Gg.Dr-0

サードバトルでは私がワールドディアボロスを使用してポイントを獲得しました。ワールドディアボロスは現時点でDBスタンダードスタジアムで最高のスタミナを誇るため、このバトルでは絶対にポイントを失うわけにはいきません。

4th Battle (3-1)
  • 師匠: バーストロンギヌス.Gg.Dr-2
  • Masaki: ダイナマイトケルベウス.Ov.MBD-9 (1st gear)

フォースバトルでは私がバーストロンギヌスを使用しました。このバトルも僅差で私はポイントを獲得することができました。

結果、3-1で決勝戦を終えることができました。

G1で優勝することは、私の目標の一つでした。優勝が確定した瞬間、私は大きなガッツポーズで舞台の上から飛び降りました。これは一種のパフォーマンスでしたが、ラストの大会にふさわしいエンディングだったと思います。

表彰式がすべて終わり、私が舞台から客席に戻ると、大勢の仲間が私の優勝をお祝いしてくれました。YABEYチームの代表であるナオヤは、私の優勝を泣いて喜んでくれました。私は、素晴らしい仲間を持てたことに幸せを感じました。

Kei: G1で使用したベイブレードは何ですか?それぞれを使用した理由を教えてください。また、そのベイブレードのどんなところが好きですか?

師匠: 予選で使用したベイと決勝で使用したベイはそれぞれカスタマイズが異なります。順番に紹介します。

今回のG1大会は主に3つのラウンドで構成されています。

まず、1stステージと2ndステージでは、ベイスタジアム ワイドタイプを使用した3人での対戦がおこなわれます。3rdステージ、4thステージ、5thステージではDBスタンダードタイプを使用した2人での対戦がおこなわれます。

5thステージまではすべての試合が一発勝負でおこなわれます。これらの予選ステージを勝ち抜くと、決勝トーナメントに進出できます。決勝トーナメントからは5Gバトルの3ポイント先取で試合がおこなわれます。

それぞれのステージに合わせたカスタマイズで戦うことが重要です。

1. ベイスタジアム ワイドタイプで使用した私のカスタマイズ

ワイドタイプでは、ダイナマイトペルセウス.Il.MBD-4を使用しました。おそらくワイドスタジアムを勝ち抜いたブレーダーの半数以上はこのカスタマイズを使用していました。

ワイドスタジアムの3人での対戦では、ワールドディアボロス.Il.MDr 1Sが多く使われることが予想されていました。実際、去年の夏にサンリオピューロランドでおこなわれたハローキティカップでも多くのプレイヤーが使用していたコンボです。私のカスタマイズはワールドディアボロスのような両方に回ることのできるベイにとくに有効でした。

3人での対戦の場合は、いかに自分のベイにスタミナを持たせるかが重要になりますので、なるべく遠心力がある重たいパーツを使用することで勝利に近づけます。

ペルセウスとメタルベアリングドリフトを使用することで、バトル終盤で回転が斜めになったときに他のベイよりもスタミナを発揮します。

私の場合、一回戦では参加予定のプレイヤーが1人欠席だったため、ワイドスタジアムで2人の対戦が行われました。相手が左回転のベイだったので、ギリギリの勝利でした。2回戦では3人共右回転のベイでした。これはラッキーな展開でした。

2. ベイスタジアム DBスタンダードタイプで使用した私のカスタマイズ

DBスタンダードタイプの対戦からは、私もワールドディアボロスを使用しました。ディスクはイリーガル、ドライバーはメビウスです。

現在、多くのG4大会はDBスタンダードタイプが使用されています。どの大会に参加しても、プレイヤーの9割が使用しているのがワールドディアボロスIl.MDr 1Sです。ですので、3回戦からはほとんどのプレイヤーがワールドディアボロス.Il.MDr 1Sを使用してくるだろうと予想していました。

そこで私はメビウスドライバーを使用して、相手と逆の回転方向で回すことで勝利を狙いました。メビウスドライバーは背が高いので、相手と逆の回転方向で回すことによって勝利しやすくなります。

反対に、同じ回転方向で回してしまうとメタルドリフトの方が安定して回転しやすいため、不利になってしまいます。ですので、相手とのモードチェンジの心理戦に勝利して、回転方向を反対にする必要がありました。

モードチェンジは、申告した時点でお互い一度だけすることができるので、それはまるで「くじ引き」のようでした。このような戦い方は私は好きではありません。回転方向が決まった時点で勝敗が分かるからです。

バーストスタジアムスタンダードタイプのような、アタックタイプが戦略的に使えるスタジアムが使用されれば、ワールドディアボロスばかりが使用されることはなかったと思います。

しかし、DBスタンダードタイプの場合、ワールドディアボロスレイヤーを使用しないと今回の大会では勝ち上がることは難しいと分かっていたので仕方なく準備しました。中にはダイナマイトペルセウスを使用してスピンフィニッシュを狙うプレイヤーもいましたが、ワールドディアボロスのスタミナには劣るため、4thステージでダイナマイトペルセウスを使うプレイヤーはすべて消えてしまいました。

3. 決勝戦で使用した私の5Gデッキ

私のデッキは以下の通りです。

師匠のG1優勝5Gデッキ

  1. バニッシュバハムート.Nx.BDr-6 (1st gear)
  2. ダイナマイトケルベウス.Ov.MBD-4 (1st gear)
  3. ワールドディアボロス.Il.MDr 1S
  4. バーストロンギヌス.Gg.Dr-2
  5. ウインドペルセウスS´.Zn´+Z-0

これらのカスタマイズは、関東地域ではごく一般的な5Gデッキかと思います。5Gバトルではカスタマイズで相手プレイヤーと差別化することは難しく、どのベイをどの順番に持ってくるかが重要だと考えています。これもまた、「クジ引き」のようなものです。

もし、私の対戦相手が関東地域外のプレイヤーであれば、カスタマイズの傾向が大きく変わるため、特別な注意が必要でした。今回私がこの順番を決めるのに意識したのは、より早く3ポイントを獲得することです。

バニッシュバハムート.Nx.BDr-6 (1st gear)

関東ではかなり有名なカスタマイズです。このカスタマイズは逆の回転方向のベイに非常に有効です。関東地域で活躍するプレイヤーの多くは、このカスタマイズを気に入っています。

彼らはこのカスタマイズを「KURUKURU(round and round)」と呼んでいます。なぜなら、Sギアがフリー回転することがこのカスタマイズの強みだからです。NxディスクにSギアを組み合わせることによって、バトル終盤に特別な回転をします。一方同じ回転方向のベイには不利です。例えば私のデッキであれば、バーストロンギヌスやワールドディアボロスのような左に回転するベイには負けやすいのが弱みです。

ダイナマイトケルベウス.Ov.MBD-4 (1st gear)

これは右に回転するベイの中で最も強いカスタマイズの一つです。このカスタマイズは同じ回転方向のベイにも逆の回転方向のベイにも有効です。ベイスタジアム ワイドタイプのダイナマイトペルセウスとは違い、ケルベウスを採用していますが、これは5機目で使用するウインドブレードを使用したカスタマイズにペルセウスを構築するためです。

ダイナマイトブレードはメタルベアリングドリフトと最も相性の良いパーツです。しかし、メタルベアリングドリフトは一部のプレイヤーしか手に入れることができないレアパーツであるため、このカスタマイズを準備できるプレイヤーと準備できないプレイヤーがいます。代用としてBrやBr´が挙げられますが、彼らはMBDよりも持久性能が劣っています。

ワールドディアボロス.Il.MDr 1S

このカスタマイズは説明する必要もないでしょう。全国的に最も使用されているカスタマイズであり、今回のG1大会でもほとんどのプレイヤーが使用していました。

このカスタマイズは逆の回転方向のベイに非常に有効です。彼が逆の回転方向のベイに負ける可能性は限りなく低いため、多くのプレイヤーが好んで使用してます。ちなみに、私はこのカスタマイズが5Gデッキの中で最も嫌いです。

今回私は、このカスタマイズを構築する上で特別なディスクを用意しました。それが、塗装が施された「イリーガル」ディスクです。彼は「爆転シュートベイブレード 2023 V2セット」で手に入る特別カラーのディスクです。なぜこのディスクが必要だったかというと、特別なグレーの塗装によって通常の「イリーガル」よりも重量が重たいからです。一般的な「イリーガル」の重量は31.8g~32.0gだといわれています。しかし、私が手に入れた「イリーガル」は32.4gもの重量がありました。この重量によって、ワールドディアボロスをより強化することに成功しました。

バーストロンギヌス.Gg.Dr-2

このカスタマイズも関東地域では有名です。本来バーストブレードは両方の回転方向に回すことのできるパーツですが、5Gデッキには両方の回転方向に回せる状態のベイは1つしか用意することができません。そのため、ロンギヌスを使用して左の回転方向にのみ回せるカスタマイズにしています。

右回転専用にしてしまうと、ダイナマイトやウインドなど強力なベイと争うことになるので、敵が少ない左回転専用にすることでポイントの獲得を狙います。「ドリフト」を採用することで非常に弱点の少ないカスタマイズです。

ウインドペルセウスS´.Zn´+Z-0

今回のバトルでは唯一出番を迎えることが出来なかったベイです。私はこのベイを使用せず優勝しました。

このカスタマイズは好きな人とそうでない人がいると思います。関東地域ではZn´+Zよりも「ジール」ドライバーを採用しているプレイヤーが多くいます。「ジール」を使用することは、他の地域からしてみれば珍しいことでした。

余談ですが、以前仲間たちと関西地方の非公式大会に参加したときに、ウインドペルセウス.S´.Zl-4を使用したところ、関西地域の多くのプレイヤーは私たちのカスタマイズに驚いていました。

私も以前は「ジール」を採用していましたが、「ジール」の場合、最後に姿勢を崩すことが多く、G1では不向きだと考えました。そこで採用したのがZn´+Zです。彼は太い軸を持っているため、回転が止まるギリギリまで姿勢を維持し、逆の回転方向のベイに有効であるということに気づきました。高確率でワールドディアボロスにも勝つことができるので有効なカスタマイズです。

師匠のデッキからの勝たれたベイブレードコンビネーションの作れるように必要な商品


バニッシュバハムート.Nx.BDr-6 (1st gear)


ワールドディアボロス.Il.MDr 1S

ワールドリング:
ディアボロス スパーキングチップ:
イリーガルディスク:
  • B-201 ゼストアキレス改造セット – ゼストアキレス.Il.Qtダッシュ-4
  • B-206 バリケードルシファー.Il.BMb-10
  • B-00 爆転シュート ベイブレード2023 V2セット – ドリガーV2.Il.Wd ダッシュ (グレー、師匠使用)
メタルドリフトドライバー:
  • B-190 DBオールインワン対戦セット – ロアバハムートKr.MDr-6
1Sシャーシ:

バーストロンギヌス.Gg.Dr-2


大会に向けたマインドと準備

Kei: よく大会に出場していますね。僕のブログ「BeyBase」の読者も同じなので、ここからは大会での心構えや準備について質問していきたいと思います。

大会の前に、どのような準備をしていますか?G1とG4で準備方法に違いはありますか?

1. 普段おこなう大会前の準備

師匠: 大会の前日には必ず、大会で使用する予定のベイの挙動を確認しています。ベイブレードにおいて、自分の使うベイの挙動を把握しておくことは非常に重要です。どんな動きをするかを細部まで確認しておくことで戦略の幅も広がります。とくにドリフト系のドライバーの場合、事前に挙動を確認しておかないと、本番で失敗する場合があります。

時間が経つと、自分の想像しているベイの挙動と実際のベイの挙動が異なることが多くあります。定期的に自分のベイを確認し、理想通りの挙動でなければ一からベイを組みなおすサイクルを繰り返すことが重要です。

2. G1での準備

G1は、G4大会のようにたくさんチャンスがあるわけではありません。ですので、G1に出場するプレイヤーのほとんどはG4に出場するよりも時間を掛けて準備します。

例えば、彼らはG4で使うベイよりも状態の良いパーツを使用します。とくに、ベアリングドリフトやメタルベアリングドリフトのようなパーツは、精密部品が使われているため、G1のために状態の良い高品質なものを貯蓄しておく傾向にあります。

私の場合、G1のために「爆転シュートベイブレード 2023 V2セット」の塗装された「イリーガルディスク」を用意しました。なぜなら、彼が通常の「イリーガルディスク」よりも重たいからです。

3. G1での注意点

G1ではバトルの前に使用するベイが厳重にチェックされます。それは普段のG4大会のベイチェックとは比較できません。たとえ細工や不正改造をしていない普段から使用しているベイでも、G1では使用できないと注意される可能性があります。

そのため、予備のパーツを用意しておくことが大切です。万が一、ベイチェックの基準に満たない場合に、予備のパーツを持参していると、その場で対応することが可能です。G1では、一度バトルエリアに入ると、エリア外に出ることはできません。エリア外からパーツを受け取ることもできないので注意が必要です。

一番有効なのは、すべて新品のパーツを使用してベイをカスタマイズすることです。私がG1使用したベイのいくつかは、新品のパーツで構成されていました。そのため、私はベイチェックで、一度も指摘されたり、パーツを交換させられることはありませんでした。

Kei: 負けたときの対処法を教えてください。立ち直ったり、モチベーションを維持するためにどのようなことをしますか?

師匠: 私がいつもおこなっている、負けたときの対処法やモチベーションを維持する方法はいくつかあります。

1. 原因を分析する

負けたときは自然と負けた原因を分析しています。対処法は負け方によって異なります。持久勝負で負けた場合は自分のベイを見直します。次に同じ相手と対戦したとき、何も変えなければ負けるのは当然です。

相手を上回る性能のベイを準備できるように一から用意し直します。場合によっては凄く時間が掛かります。

オーバーフィニッシュやバーストフィニッシュで負けた場合は、シュート方法について見直します。シュートの位置やシュートパワーなどのテクニックを見直し、研究することで勝率を上げます。負けた後に、負けた原因を考えることは大切です。

原因を考えて探求できないプレイヤーはベイブレードでは強くなりません。

2. ライバルを作る

私には多くのライバルがいます。ライバルを多く作ることはモチベーションを維持に繋がります。ライバルが多ければ、負けたくないと思いますよね。少しでも気を抜いていると、彼らはすぐに私を追い越します。私は負けることが嫌いなので、常にライバルたちより一段階強くなれるように心がけています。

ベイブレードバースト大感謝祭G1決勝トーナメント進出者と師匠

Kei: 大会でのパフォーマンスを向上させるための、何か特別な方法や習慣がありますか?

師匠: 私が普段からおこなっている4つのポイントについて解説します。

1. 仲間のバトルを観察すること

大会では仲間がどういうバトルをしているのか常に観察しています。とくに準決勝戦からの5Gバトルはどの大会会場でも観察するようにしています。

そのトーナメントを勝ち上がってきたプレイヤーがどういった戦術・スキルを持っているのかなど、観察することで非常に勉強になります。勝ち上がっているプレイヤーとは、今後別の大会で自分と対戦する可能性があるので、観察することで対策することもできます。自分がプレイしていない間にも、周りのライバルは強くなっているという意識を持つことが重要です。

最近は勝ち上がってくるプレイヤーのバトルを熱心に観察するプレイヤーは減ってしまいました。それは非常に残念です。

2. 考えながらバトルする

バトル中、自分のベイや相手のベイの挙動を見ながら考察することは非常に重要です。もしあなたがバトル中にポイントを失ったとき、同じ戦略でもう一度バトルをおこなっても勝つことはできないでしょう。たとえポイントを得られたとしても、浮かれていると次にポイントを失う可能性があります。

勝ったときも負けたときも、すぐに原因を分析して次のバトルで改善できるプレイヤーは大きな舞台でも活躍します。ただ回っているベイを見つめているだけでプレイヤーとして成長できません。強いプレイヤーは常に考えながらバトルをしています。

3. 大事なのは「勝つこと」よりも「ミスをしないこと」

大会で勝ちたいのはみんな同じです。絶対に勝つという気持ちは大事ですが、勝つことばかりに集中すると、思わぬシーンでミスを起こします。

どんなに有利なシーンでも油断していると負けてしまうのがベイブレードです。勝つことばかり考えてしまうとプレッシャーにもなります。なので私はミスをしないことを考えてバトルしています。もしあなたが常に最悪のシチュエーションを想像できれば自然と対策しているでしょう。対策することで不自然に負けることは基本的にありません。

私がG1大会で優勝するために最も重視したポイントです。

4. ディスカッションする

大会終了後、その日のバトルについてディスカッションすることは有効な手段の一つです。

基本的にベイブレードはプレイヤーによって正解が異なります。仲間とその日のバトルの感想を述べ合うことで知識が増えるでしょう。それと同時に新たな目標が見つかることもあります。

ときに仲間は自分の知らない情報を持っているときがあります。仲間が多ければ多いほど得られる知識は増えます。仲間と話し合える時間を有効的に活用してパフォーマンスの向上につなげましょう。

1月2023年に東京のおもちゃのぶんぶくで師匠(奥、茶色のコート)と私(ブレーダーKei)とみんな撮った写真

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ベイブレードバーストの8年間に対する回顧

Kei: ベイブレードXについて話す前に、ベイブレードバーストが8年間の歴史に幕を下ろしたばかりなので、その感想を聞きたいと思います。

ベイブレードバーストの好きなところは何ですか?タカラトミーが「ベイブレードバースト」の展開においてよくやったと思うところ、一方でもっとうまくできたと思うところはありますか?

1. ベイブレードバーストの好きなところ

師匠: ベイブレードバーストの好きなところは、大人も参加できる大会がたくさんあったことです。

メタルファイトシリーズでは、私は子供でしたが、大人も参加できるオープンクラスの大会は極わずかでした。

ですので、私はベイブレードバーストではほとんどのG4大会には参加することができないと思っていました。しかし、ベイブレードバーストでは「小学生限定」のレギュラークラスに加えて、「中学生以上」が参加することのできるオープンクラスが設けられました。これは嬉しかったです。また、タカラトミーはG3以上の大型大会にも大人の参加権を与えました。オープンクラスがたくさんおこなわれたことで、私はバーストシリーズでもたくさんの友人を作ることができました。

このような大人が参加できる大会を積極的に作ってくれたことが、ベイブレードバーストの好きなところでもあり、よくやったと思う点です。

一方でもっとうまくできたと思うところはたくさんあります。これは少し厳しい視点になると思います。

2. 品質の低下

ベイブレードバーストの悪印象の一つとして、製品品質が下がったことが挙げられます。これは、バーストシリーズの製品がベトナムで作られ始めたのが原因の一つです。2015年ごろから、タカラトミーの多くの玩具の生産は、中国からベトナムへシフトし始めました。

これは、ベトナムの方が中国よりも低いコストで製造できるからだといわれています。低いコストで商品を製造して利益を獲得することは、企業として当たり前のことです。しかし、ベイブレードバーストでは、製造をベトナムにシフトしたことによって、不良品のパーツが多く出荷されてしまいました。

私がベイブレードバーストを始めて、最初に驚いたことが、ランチャーの品質の悪さです。当時は多くのプレイヤーがランチャーの品質の悪さを指摘していました。驚くほどに、彼らは壊れやすかったのです。いくつ買い替えたのか私ははっきりと覚えていません。

ドライバーの品質
ベアリングドリフトドライバー

次に驚いたことが、ドライバーの品質の悪さです。

とくに、Br、Br´、BDrなどのベアリングが内蔵されているドライバーの品質の悪さは異常でした。

曲がっている軸先がほとんどで、大会では使うことのできないような不良品ばかりでした。中には、ベアリングドライバーにも関わらず、ベアリングが内蔵されていない不良品がいくつか出荷されていました。これには私は腹を立てました。

ディスク重量の個体差
beyblade burst part over disk
オーバーディスク

最後が、ディスクの重量です。

ディスクも、低いコストで製造されているため、重量に差が出てしまいました。例えば、オーバーディスクを例に挙げると、重たいオーバーディスクで34.0g、軽いオーバーディスクで32.8gでした。ベイブレードのような玩具の場合、この差はかなり大きいと感じます。BEYBLADE Xでは改善されていることを期待します。

3. 大型トーナメントの入賞景品について

ベイブレードバースト G1バーストカップ2020 チャンピオントロフィー

長年ベイブレードで遊んでいるプレイヤーが指摘することの一つが、大型大会の入賞景品の渡し方についてです。バーストシリーズでは、G1の入賞景品の渡し方が酷いと感じています。この話をするには、20年以上のベイブレードのG1大会を振り返る必要があります。

聞いた話ですが、最初のシリーズのベイブレードでは、G1で入賞すると、ベイ以外に必ず賞状を貰うことができました。これは良い記念になりますよね。

メタルファイトシリーズでは、ベイはトロフィーに設置された状態で入賞者に渡されました。賞状はもちろん、それ以外にも、優勝者は金色のランチャーグリップや、特製のジャージなどを受け取ることができました。副賞がとても充実していた素晴らしいシリーズでした。

それに対して、バーストシリーズはどうでしょう。実は今回のようなトロフィーが貰えたG1は最初と最後の2回だけです。それ以外におこなわれたG1のほとんどは、ビニール袋に入ったベイを入賞者に渡していただけでした。賞状やトロフィーなどの副賞は全くなかったのです。これはビックリですよね。今回のG1も、本来の入賞景品はスーパーハイペリオンのみでした。サプライズでトロフィーと賞状が渡されることが決まったのは、ギリギリのことだったと聞いています。

このような入賞景品の渡し方が酷くなっている点が、私は非常に残念に感じます。

BEYBLADE Xでは、副賞が充実することが発表されました。今まで以上にプレイヤーが高い目標に向かってベイを回せるような、大型大会にしてほしいです。

ユニークなスタジアムと従来型で競争的なスタジアムの重要性

Kei: 欧米のベイブレードコミュニティでは、「ベイスタジアムDB スタンダードタイプ」のスタイルよりも、「バースト ベイスタジアム スタンダードタイプ」のような今までのベイブレードスタジアムによる遊び方を好む選手もいます。ハズブロとタカラトミーの両社は、近年、ユニークなスタジアムの実験を多く行っています。これについてはどのように感じていますか?東京のG4大会では、最近「バーストベイスタジアムスタンダードタイプ」を使っているところが多いですね。

適切な競技性を阻害するユニークなスタジアム

師匠: 定期的にユニークなスタジアムを出すことでベイブレードは盛り上がるでしょう。私も時々ユニークなスタジアムを使用したベイバトルが好きです。

しかし、ユニークなスタジアムが当たり前になってしまうことには反対します。なぜなら、適切な競技性が保たれないからです。

現在、日本でおこなわれているほとんどのG4大会はDBスタンダードタイプが使用されています。G1でも2人での対戦はすべてDBスタンダードタイプが使用されました。しかし、東京で開催されているオープンクラスのG4大会はすべてバーストベイスタジアムスタンダードタイプが使用されています。これはバーストベイスタジアムスタンダードタイプがベイブレードにおいて最も競技性の高いスタジアムだからです。

アタックタイプの戦略的使用を不可能にするDBスタンダードタイプスタジアム

DBスタンダードタイプの欠点は、アタックタイプのベイを戦略的に使用することが不可能なことです。主にエクストリームドライバーなどのラバー軸のことです。

アタックが使用できないということは、戦略の幅が狭まるということです。

もう一つの欠点は、バトルの勝敗がベイの性能に依存してしまうことです。プレイヤーのスキルによって差が生まれにくくなってしまいました。

これは私が何度も言っている「クジ引き」のようです。5Gの場合はとくに、負けた原因を分析することが難しいと感じています。順番を決めた段階で勝敗がほとんど決定されるからです。ですので、私はDBスタンダードタイプでも5Gバトルに負けたときは、「運が悪かった」と思っています。

バーストベイスタジアムスタンダードタイプではプレイヤーのスキルが重要

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バーストベイスタジアムスタンダードタイプ

バーストベイスタジアムスタンダードタイプの場合、ベイそのものの性能はもちろん、プレイヤーのスキルによって勝敗が大きく左右されます。

どんなに使うベイが良くても、プレイヤーにスキルがなければ勝ち上がることは難しいでしょう。バーストベイスタジアムスタンダードタイプでのバトルで、自分のスキルを磨けば、それをDBスタンダードタイプでのバトルに応用することも可能です。ですので、東京でおこなわれるオープンクラスのG4大会では、バーストベイスタジアムスタンダードタイプを使用してトーナメントをおこなっています。


ベイブレードXへの期待

東京おもちゃショー2023「コロコロ魂祭」にてベイブレードXスタートダッシュイベント開催

Kei: 現時点での「ベイブレードX」への印象は?何が好きですか?好きではないところはありますか?

師匠: 残念ながら、現時点で私はベイブレード Xにあまり良い印象を持っていません。

ベイブレード Xでは今までの競技性が失われていると感じます。既にいくつものプロモーションを見ましたが、ベイブレー Xはベイブレード史上最も「運要素」の高いシリーズになるでしょう。これまで私たちが培ってきた技量やベイの調整技術は、ベイブレード Xでは無意味のような気がしています。その原因がスタジアムです。

1. 運要素の高い新型スタジアムでのバトル

ベイブレードXでは、スタジアムにギアがついていることによってベイが今まで以上に加速します。これまで以上にバトルが激しくなることが予想されるので、ユーザーの多くはインパクトを受けるでしょう。

しかし、ヘビーユーザーはこのギミックを批判しています。なぜなら、ベイバトルがスタジアムの性能に依存していまうからです。私たちがこれまでプレイしてきたベイブレードのバトルは、ベーシックなスタジアムでばかりおこなわれてきました。稀にタカラトミーは、自動回転型の特殊なギミックを搭載したスタジアムを発売しますが、そのようなスタジアムは一部の特別なシーンでしか使用されません。

タカラトミーは、メタルファイトシリーズからユーザーの多くがスタミナ勝負をおこなっていることに悪い印象を持っていました。スタミナ勝負は、プレイヤーがお金と時間を費やして準備したベイが争う熱いバトルだと私は感じていますが、多くのライトユーザーはそれを地味なバトルだと言います。

このようなスタミナ勝負を無くすためにタカラトミーが開発したのが、ベイブレードバーストです。しかし、タカラトミーの思惑とは反対に、大会ではスタミナ勝負が多くおこなわれました。2020年には、オーバーフィニッシュの獲得ポイントを1から2に変更する対策が取られましたが、それでもスタミナ勝負は減りませんでした。

ベイブレードXでは、スタジアムに特殊なギミックを搭載することで、完全にスタミナ勝負を無くそうとしているのだと考えられます。

その証拠として、彼らはベイブレードXで新たな勝利方法を追加しました。

それが「エクストリームフィニッシュ」です。ベイブレードXでは、今までの3P先取でのバトルから、4P先取へと変更されました。スピンフィニッシュは今まで通り1Pで、エクストリームフィニッシュは3P獲得できます。つまり、スタミナ勝負でポイントを稼ぐのは圧倒的に効率が悪いのです。

ベイブレードとコマ大戦の比較

日本では、ベイブレード以外にも「コマ大戦」と呼ばれるspinning topがあるのをご存じですか?

「コマ大戦」とは、日本全国の中小製造業が作成したオリジナルのSpinning topを持ち寄って、一対一で戦う大会です。

「コマ大戦」も、ベイブレードと同様にアタックタイプとスタミナタイプが存在しますが、多くの製造業者は、スタミナを重視してSpinning topを仕上げてきます。

ベイブレードの起源である、spinning top(日本語で言うとベーゴマ)は、ドーム状のような障壁のないフィールドでバトルがおこなわれてきました。コマ大戦でも、ドーム状のベーシックなフィールドを使用してバトルがおこなわれています。それらは、バーストベイスタジアムスタンダードタイプのような形をしています。つまり、バーストベイスタジアムスタンダードタイプのような一般的なドーム状のフィールドが、最もspinning topの良さと、それぞれの特徴を活かすことのできるフィールドなのです。

今回の新型スタジアムは、今までのような、ベイの性能と自身の技量で戦うベーシックなスタジアムではありません。おもちゃとしてのインパクトは完璧だと感じますが、競技としてベイブレードを見れば、新型スタジアムはベイブレードを悪い方向に導くと感じます。

ここから先は、日本で決定している展開についてです

2. マスターズクラスの新設

一方で好ましい印象を受けることもあります。ベイブレードバーストに引き続き、タカラトミーは、小学生限定のレギュラークラスに加えて、中学生以上限定のシニアクラスと、小学生以上であれば誰でも参加できるマスターズクラスを新設することを発表しました。

これまでのように大人のプレイヤーが活躍できる大会を用意してくれたことには感謝します。

3. ユーザーが主催できる大会

更にタカラトミーは、ストアだけでなく、ユーザーに積極的に大会を開催してもらうために「S1」という新たな制度を設けました。

これは、タカラトミーがユーザーに大会用の景品を提供する制度です。この制度によって、日本全国で多くの大会が開催されることが予測されます。

ベイブレードバーストでは、シリーズ終盤、関東(東京など)以外のほとんどの地域ではG4大会が開催されず、ユーザー自身がオリジナルの大会を開催することが多くありました。ですので、全国のユーザーにとって嬉しい制度だと感じています。


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新しいベイブレード選手へのアドバイス

Kei: ベイブレードXの世代が始まっているところですから、色々新しいプレイヤーが出てくると思います。これから大会に出たいと考えている新規参加者の方々に向けて、何かアドバイスはありますか?

師匠: とにかくバトルを楽しんでください。大会には色んなプレイヤーが参加します。普段戦うことのできない人たちとバトルすることはとても楽しいです。勝負には勝ち負けがつきものなので、悔しい思いをするときもあります。私も、ベイブレードを始めた頃は、全く勝てずに悔しい思いばかりしました。しかし、それを乗り越えた先にある勝利には大きな価値があります。向上心や探求心を忘れずにどんどんチャレンジしていけばいつか必ず良い成績は出すことができます。

みんな頑張れ!


ベイブレードとは

Kei: ベイブレードをやっている理由は何ですか?なしもとさんにとってベイブレードとはどんな存在ですか?

師匠: 私がベイブレードをやっている理由は、とにかく楽しいからです。

私は小学生の頃からベイブレードを始めて、今年で始めてから14年が経ちました。私の人生でいうと、3分の2の時間をベイブレードに注いでいます。私は14年間の中で、たくさんの仲間に出会い、彼らと共に同じ目標を持って、挑戦し、喜びや感動を分かち合ってきました。私にとって、ベイブレードは人生の一部でもあり、自分自身を大きく変えてくれた成長の場です。

この14年間で得た、「仲間との繋がり」は一生の宝物です。これからも、私は仲間たちと、ベイブレードの頂点を目指して駆け抜けます。

師匠(奥、一番背が高い)と私(黒WBOのTシャツ)、2016年のWBO×WARI-BEYトーナメントの参加者たち

まとめ

今回のインタビューを通し最も心打たれたことは、師匠の経験や思いが、筆者自身の経験や思いと鏡を見るようにそっくり似ていたことである。ブレーダーとしてはもちろん、ベイブレードの一ファンとしての、双方についてだ。

ベイブレードXのスタジアムギミックに関する懸念

ベイブレードXに関していえば、新たなスタジアムのギミックについて、師匠の述べた懸念に対し一点補足したい。

師匠の懸念が現実のものとなったとしても、ベイブレードファンとして、もっと従来的で競技性の高い別のスタジアムで大会を開催することも選択肢のひとつである。インタビュー内で彼が語ったように、そうした先例もある。東京のG4ベイブレードバースト大会では、ベイスタジアムDBスタンダードタイプが「公式」のスタジアムと定められたにもかかわらず、バーストスタジアムスタンダードタイプが使用され続けていた。

重要なのは、ベイブレードそのものが高品質であることだ。ベイブレードが高品質であれば、少なくともファン主催のイベントにおいて、別のスタジアムが使用された場合もプレイがしやすい。

タカラトミーにとっては、実験を継続し、ゲームプレイの限界を押し上げることが重要だ。新スタジアムの導入などは良い方法である。事実、タカラトミー(やハスブロ)の独創性には、筆者も感心している。しかしながら、従来的なスタジアムのデザインもまた重要なのだ。ファンには、彼らが望むのであれば、従来のスタジアムでプレイし続ける権利がある。WBOの管轄する日本国外のベイブレードコミュニティでは最近、新しいゲームプレイスタイルや新しいスタジアムーときにはファン自作のスタジアムでさえーの受け入れを支持する声も多くあがっている。

それでも、筆者としてはまずはタカラトミーが意図したとおりにベイブレードを体験し、どのように展開されていくかを見定めることを楽しみにしている。

「真剣に」ベイブレードをプレイする

師匠の各回答を読んで、筆者は興奮を押さえられなかった。何かに情熱を注ぎ、真剣に向き合うことは、この上なくクールなことだと筆者は思っている。「真剣に」なるというのは、なにも「高い競争心をもつ」とかそれに「集中する」とか、あるいはそれに「打ち込む」ことだけを意味するわけではない。勝ち負けに関わらず、真剣に楽しめるということも、同じように大切なのだ。まさに師匠自身が、「楽しいからベイブレードをしている」その姿勢を明示してくれたように。

強豪プレイヤーたちがこのようにベイブレードを楽しむことができるのは、彼らが、どんな経験にも価値があるということを理解しているからだ。勝つことだけでなく、負けることにも価値があるということを。重要なのは、自分がしていることに対し、自分が意図した形で真剣に向き合うことができるかどうか、ということなのである。

結局のところ、目的をもってプレイすることが最も大事だ。G1制覇でもいい、G4制覇でもいい。バーストスタジアムスタンダードタイプの達人になることでもいいし、ベイスタジアムDBスタンダードタイプの達人になることでもいい。メタルファイトベイブレードの達人になることでもいいし、仲間とバトルを楽しむこと、あるいはこれら全部だって、その他もっとを求めたっていい。ベイブレードのプレイを楽しむために、自分にとって何が「成功」で、何が「真剣」を意味するのか、自分自身で決めておく必要がある。

同じことはベイブレードだけでなく、人生そのものにも応用できる。つまり、目的をもってそれと上手に向き合いながら生きていけるかどうかが、得られる喜びの深さに反映されうるのだと思う。

勝とうとするのでなく、ミスしないようにプレイする

今回のインタビューで筆者にとって最も印象深かったことのひとつが、

勝とうとするのではなく、ミスをしないようにすることが重要だ

という点であった。この点について、関連する筆者の個人的な経験をここに紹介したい。

ベイブレードバースト大感謝祭G1大会の数週間前、筆者はフジヤという東京の玩具店で開催されたG4大会に参加した。

東京のフジヤおもちゃ屋

その大会において、筆者は上位4位に入った。準決勝の対戦相手は師匠だった。5Gの5点制でプレイした。2対0の優位で迎えた3ラウンド目では、結局ミラーマッチとなった。両者とも、ダイナマイト・ベアリング・ドリフトを使用したのだ。この状況下では、筆者としては勝つことよりもミスをしないように気を配ることのほうが重要であった。これは師匠がインタビューで語ったことと同じことである。

「勝とう」としていたならば、彼のベイブレードをスピンフィニッシュさせることを狙って、比較的強めにベイブレードをシュートする必要があっただろう。だがそうすることで、BDrの動きによってノックアウトされてしまうリスクも高くなる。そうなれば2点の失点となり、ゲームは即座に同点になってしまう。日本にスタジアムは持ってきていないので、事前に自分のコンボの動きを確認するテストを家ですることもできていない。彼のコンボが自分のコンボよりよくチューンアップされていると想定しておくほうが安全だろう。そうした考えから、筆者は少しだけ軽く、けれども勝つ可能性も残した十分な強さも維持しベイブレードを放った。結果、筆者のベイブレードはノックアウトされてしまった。

結局筆者は、5対2で敗北を喫した。もし3ラウンド目をスピンフィニッシュで負けていたら、戦況は2対1だった。2対1であれば、5つのベイブレードでの対戦を終えた時点でスコアは4対2であったかもしれない。そうなればその時点でリシャッフルとなり、様々な可能性が残されていただろう。

要するに、その時点で危険性は認識していたものの、まだいくらかは「勝つこと」を考えていたのだ。その試合自体のことを考えれば、スピンフィニッシュで1点だけ失うことを選ぶことが賢い選択だったろう。

こうした経験が、今回のインタビューで師匠が語った数々のことの真実を証明してくれていると筆者は思う。

ベイブレードで勝つことは、いくつかの要因が重なることで実現する。準備、技術、運。前者二つは自分でコントロールできるが、運は違う。自分でコントロールできることに自分の最善を尽くして負けたならば、不運で負けたとしても仕方ない。だからこそ、勝つことよりミスをしないことに集中したほうがいいのだ。

このように考えれば、負けてしまったとしても、ミスをしたのでない限りは、そこまで苦しまずにいることができる。もしミスをしたのなら、それは明らかに、次の対戦で治すべきポイントなのである。

師匠が重要視している、ライバルを作ったり仲間と一緒に学ぶということも、大変共感できるポイントだ。事実、World Beyblade Organizationの長期展望そのものが”ベイブレードを一緒にプレイする”人々を支援することなのだ。この展望には、目の前のゲームを一緒に楽しみ、一緒に学ぶために我々にできること全てを尽くしたい、という信念が込められている。

運を自ら生み出す

このインタビューを読んで、中には、「師匠がG1を制覇できたのは運がよかったからだ」と思った人もいるかもしれない。一回戦目で3人目のプレイヤーが現れず、あるラウンドでは打ち出しが弱いと感じたにもかかわらず敵をノックアウトすることができ、準決勝では対戦相手が棄権した、運がよかったではないか、と。

先に述べたように、どんなプレイヤーでも、成功のためにはある程度の運が必要であるというのは事実かもしれないが、師匠のようなトッププレイヤーは実際のところ、自分にできることの全てを尽くすことで自ら”運”を生み出しているのである。

要は、”運”を利用できる立場にいない限りは、”運”の恩恵を受けることもできないというわけだ。そして多くの場合、準備や努力、技術、そして状況認識能力があって初めて、そうした状況は実現する。

師匠が語ったことの中で筆者が感心したことのひとつが、彼が予選後半で、多くのプレイヤーがダイナマイトペルセウス.Il.MBDやワールドディアボロス.Il.MDr 1Sに切り替える中、ワールドディアボロスIl.Mb 1Sを使うことを選んだ点である。流れに逆らうことがいつも正解とは限らないが、ときにはそれが正しいこともあり、その道を選ぶためには、知識や技術、そして勇気が必要となる。特に最高レベルのステージである、G1大会においては。

インタビューの中で師匠が語ってくれたポイントのひとつひとつについて述べようとすれば際限がないが、基本的に読者の皆様には、師匠の語ってくれたことから学びを得て、それらを、自分自身のベイブレードと歩む道のりに応用してもらえたら幸いに思う。

地球の裏側で、筆者も同じような道のりを歩んできたので約束できる。我々と同じようにベイブレードを愛する人ならば、そうすることによって自分自身をもっと成長させることができるはずだ。

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あとがき

終わりに、本稿翻訳について助言をくれたayadora418に感謝するとともに、なにより師匠には各問いに対し、多くの時間をかけてここまで詳細に語ってくれたことに心から感謝したい!Danもワールドディアボロス.Il.MDr 1Sの写真を撮ってくれてありがとう!

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